日本の自動車メーカーの最新技術//人テク2022//間近に迫る電動化社会!?
2050年までに僕たちの生活様式は大きく変わります!!
「電気自動車」と聞いてどのようなイメージを持ちますか?
「エコはわかるけど、値段が、、走行距離が、、」とマイナスイメージのほうが多いですよね。
5月下旬に開催された「人と車のテクノロジー展2022」で自動車メーカーの最新の取り組みを見てきました。そこで僕が感じたのは、「電気中心の時代がすぐ目の前まで来ている」ということ。そして、それは僕たちの生活に大きく影響するということです。
車は人生の中で大きな買い物の一つです。
計画的に購入するために、少し先の自動車の姿を知っておきましょう。
それは同時に未来の地球環境を考えることにもなります。
- 日本の自動車メーカーは何を作っているの?
- 何で電気自動車なの?
- カーボンニュートラルって何?
- トヨタ、ホンダ、日産etc…各社の取り組み
- 電動化社会に向けた共同事業
- 少し先の電動化社会の姿
何を作っているの?
電気自動車の現在
みなさんは電気自動車と聞いてどのようなことをイメージしますか?
- エコなのはわかる けど
- 走行距離が短い
- 充電が長い
- 値段が高い
- 電気スタンドが少なく不安
マイナスのイメージのほうが多いのではないでしょうか?
それは数字に出ています。2020年時点で日本の電気自動車の普及率は 0.6% です。
しかし近年、温暖化、燃料枯渇、世界情勢などの問題から、世界中で急速に電気自動車が普及しています。例えば、EUでは、2035年以降ハイブリッド車、ガソリン車が販売店から消えます。このままでは、日本から輸出できる車がなくなってしまいます。
日本でも2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする(カーボンニュートラル※)が宣言されました。
自動車メーカーのみならず、世界中の企業がCO2排出を抑える取り組みや技術開発を行っています。しかし、製品を作る過程などでどうしても除去できないCO2があります。その分を植林、森林管理などで吸収することで、トータルのCO2排出を実質ゼロにするという考え方です。
日本のCO2排出の16%は自動車から排出されていますから自動車メーカーの責任は大きいのです。
環境問題、エネルギー問題、世界との競争力といった視点から電気自動車の開発と普及が必須の状況なのが今の日本の自動車メーカーです。
日本の自動車メーカーが作る電池
電気自動車は電池とモーターで動きますので、電池の性能は重要な要素です。
そこで自動車メーカーが力を入れているのが電池の開発です。
メーカーの努力はわかるけど、結局ガソリン車のほうが使い勝手がいいんなら電気自動車に乗り換えたくないな。
だから、いま日本の自動車メーカーは電気自動車にモビリティー以上の価値をつけようとしているみたいなんだ。
そこで、人テク2022に行ってわかった日本の自動車メーカーが作る多種多様な電池、そして電気自動車の新しい価値を紹介します。
各メーカーの電動化社会に向けた対応
本題の前に、電気自動車関連の略語を整理しました。
トヨタの作る電池
トヨタというとハイブリッド車を連想しますよね。一時期は世界的に見てもエコカーと言ったらトヨタのプリウスでした。そんなトヨタが開発を進めている電池が「水素で発電する燃料電池(FC)」です。
今回展示されていたのは、2020年発売のトヨタMIRAI(第二世代)です。
これにトヨタの燃料電池が搭載されています。
航続距離は、750~850㎞。
2014年に発売された初代に比べて、航続距離が30%向上しました。
燃料電池の仕組み
トヨタの燃料電池の仕組みは以下の通りです。
- 水素ステーションで水素を充てん
- 水素と酸素で発電
- その電気をバッテリーに充電
- 電気でモータを動かす
なぜトヨタは燃料電池を作っているのでしょうか?
今までのエネルギーと共存しながら、より幅広い選択肢を持てる未来へ。
100年後、200年後まで見据えた取り組み。
普及させるには、まだ時間がかかりそうだけど技術を育てているんだね。
水素発電の燃料電池車が広まると、僕たちの生活はどう変わるんだろう?
燃料電池車を使用するときのメリット・デメリットをあげます。
- 充填時間が短い
- 再生可能エネルギーを安定して使える
- 水素ステーションが少ない
メリット1:充填時間が短い
現状の電気自動車(BEV)は充電に一晩かかります。急速充電でも数十分かかります。
しかし、燃料電池車(FCV)は3分程度で満タンにすることができます。
(現状はスタッフによる充填)
これは水素特有の利点ですね。
メリット2:再生可能エネルギーを安定して使える
これから先、石油や石炭などの化石燃料に代わって、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーの使用割合が増えることが予想されます。
しかし、再生可能エネルギーは電力として不安定です。
例えば太陽光による発電エネルギーは天候や昼夜で変化します。
そこで燃料電池が役に立ちます。
昼間に太陽光発電した電力を水素に変えておけば、夜間も発電することができます。
さらに移動することもできるので「外出先の電源」「災害時の非常電源」としても使えます。
「電動モビリティーを蓄電池として使用する」という考え方は、後述の日産、ホンダも共通する考え方です。
各社様々な方法で電動化社会を後押ししようとしています。
普通のガソリン車のように使えて、移動式の大容量電源としても使えるのであれば、それだけでガソリン車以上の価値はありそうですね。
デメリット:水素ステーション
水素ステーションが少ないため個人で所有するには使い勝手が悪そうです。
BEV用の充電スタンドの増設も急がれている中で水素ステーションも同時に増設することは難しいでしょうから、長い目で見る必要がありそうです。
補足
トヨタは燃料電池車(FCV)のほかにも、SUBARUと共同でバッテリーEV(BEV)も作っています。
水素、バッテリー両面で電動化社会に向けた技術を磨いているんだね。
日産の作る電池
電気自動車と言ったら日産リーフを思い浮かべる人も多いでしょう。
今回の展示でも、クロスオーバーEV「日産アリア」と軽EV「日産サクラ」が目立ちました。
軽からSUVまで幅広いラインナップをそろえることでEVの普及を目指していることがうかがえます。
こちらの2台も蓄電池として使用することが可能です。
EV性能が飛躍的に向上する全個体電池
ですが、僕が注目したのはこちらの全個体電池開発です。
簡単に言うと、現在電気自動車に使用されている「リチウムイオン電池」を進化させたものです。
従来の液体リチウムに対して、全個体と言っています。
液体が個体になるとどうなるのか?
僕も気になるところですが、かなり専門的な話になるためここでは性能だけ記載します。
- 航続距離(エネルギー密度):2倍
- 充電時間:3分の1
- コスト:75ドル/kWh(※)
※65ドル/kWhがガソリン車相当。
2028年以降の開発で75ドルになるポテンシャルがあるとされている。
2028年に市場投入する計画になっています。
価格が下がって、街の充電スタンドが充実してくれば購入しやすくなりますね。
2028年の日産に大注目だね。
ホンダの作る電池
強みを生かした電池
「ホンダの強みは、二輪、乗用車、汎用製品といった幅広い分野をカバーしていること」と基調講演で述べられていました。
そんなホンダが作る電池がこちらです。
これだけ見ると、電動自転車のバッテリーのように自宅のコンセントで充電することを想像するかもしれません。
しかし、この電池はクルマを動かすだけのものではありません。ホンダはこの電池を使った新しい街づくりを考えています。
こちらが具体的な使い方イメージです。
- 複数のバッテリーを充電できる装置を家庭用蓄電池として用意します。
- 普段は通所の蓄電池と同様に、日中の太陽光発電による電気を充電し、夜間や曇りの日に蓄電池の電気を使用します。
- そして、時々使用するモビリティー(例えば、週末の買い物時だけ使うスクーター、夏だけに使用するモーター付きボートなど)に使うときだけ、バッテリーを差し替える。
滅多に使わないけど肝心な時にバッテリーが上がっているなんて心配がなくなりますね。
電動化社会の姿
さらに大きな規模でも使用可能です。
- メガソーラーからの電力をバッテリーに充電します。
- 対応したモビリティーは家に戻って充電するのではなく、ガソリンスタンドと同じように料金を払って充電済みのバッテリーと交換します。
写真にあげたのは、今回展示されていた三輪スクーター、小型ショベル、自動配送ロボです。
ホンダの強みを十分に生かした取り組みですね。
すでに、インドで3輪タクシーを使ったシェアリングサービスの実証実験が行われています。
電池というより、電池を中心にした街のシステムを作っているんだね。
さらに、ホンダは「シームレス」という言葉を強調していました。蓄電池=非常用電源とおもいがちですが、非常時はもちろん平時も使えるということです。
確かに非常時にしか使わないものって、いざその時に使えるか不安だね。
消火器とか、AEDとか。
メーカーの枠を超えた共同事業
今回の人テクでは、各社それぞれの技術紹介がメインでしたが、2050年のカーボンニュートラル実現に向けてメーカーの枠を超えた多数の共同事業が実施されています。その中に今回紹介した技術も含まれています。
さいごに
「本当に電動化は進むのだろうか?」
もし、そのように感じるのであれば「ガラケー」から「スマホ」に乗り換えた時のことを思い出してください。
通話やメールだけなら「ガラケー」で十分でした。
「スマホ」は料金が高い、バッテリーがすぐ切れるといったデメリットもあります。
それでも「スマホ」に乗り換えたのは、SNS、動画、ネットバンク、ネットショップなどの魅力的なアプリの影響です。
電気自動車も同じではないでしょうか?
記事で紹介した電動化技術は、「スマホ」で言うところの、大画面、高速通信、カメラ搭載といった基本スペックです。
魅力的なアプリ(付加価値)が開発されるのはこれからです。
例えば、ネットカフェのように使えたらどうでしょう?
落ち着いた空間で、映画を見たり、リモートワークもできます。
もともと車のシートは長時間座っても疲れないようにできています。
カラオケルームにするのもいいかもしれないですね。
家族で楽しむのも自分の部屋のように使うのも自由。
充電設備が全国的に充実すれば、それがどこでもできます。
みなさんはどんな付加価値が欲しいですか?
「だれもが欲しくなる電気自動車」を考えることは地球の環境を守ることにもなります。