クロスカブ110//日常点検と基本の調整方法&筆者の失敗談
クロスカブ歴2年の”Hiro”です。カブに乗っている皆さん、日常点検していますか?車検が不要というのは維持費の面で魅力的ですが、全く点検をしなければ事故のリスクは高くなる一方です。簡単な日常点検をすることでバイクの異常に早く気づくことができて、事故や故障のリスクを減らすことができます。そこで、「クロスカブ110(JA45)」の日常点検と整備方法をまとめました。みなさんのバイクライフを応援します。
※補足
点検項目については「スーパーカブ110(JA44)」「スーパーカブ110プロ(JA42)」と共通です。規定値が違うものだけ別途記載しました。また、専門の知識や工具が必要な本格的な作業はお店でプロに任せましょう。
日常点検
ブレーキレバー(フロントブレーキ)
確認①ブレーキレバーの遊び
チェック方法
1.前輪を浮かせる
まず、センタースタンドを立て後ろに重りをのっけて前輪を浮かせます。
2.前輪を回す
浮いた前輪を勢いよく回します。
3.レバーの遊びを確認
レバーを引いて、ブレーキがかかり始めるまで(ブレーキがこすれる音がするまで)の遊びが 10-20 mm あれば大丈夫です。
既定の遊び=10-20㎜
調整方法
- アジャストナットを回す
- 溝とジョイントピンがあっていることを確認
- 再度、遊びとしっかり握った時の効き具合を確認しましょう。
※手で回せます。
※緩めすぎるとブレーキが効かなくなります。
確認②ブレーキの効き具合
チェック方法
日常の走行時に確認しましょう。
※普段の感覚を覚えておくのが大事です。
アジャストナットの調整後は、走行前に「手押しでのブレーキの利き具合」や「ブレーキレバーをしっかり握った時の感覚」を確認しましょう。
ブレーキの効きが悪いとき
1年に1回の点検内容になりますが、ブレーキライニングの減りを確認しましょう。
確認だけなら簡単です。
ブレーキをしっかり握った時に、△マークと重なったら交換タイミングです。
ブレーキライニングの減りが激しい場合は、バイクショップなどで部品交換をしてもらいましょう。
ブレーキライニングが摩耗した状態で走ると、ブレーキの効きが悪いだけでなく、ブレーキドラムなどの周辺部品の破損にもつながります。
少なくとも、1年または3000㎞に1回など定期的に確認しましょう。
ブレーキペダル(リアブレーキ)
確認①ブレーキペダルの遊び
確認方法
既定の遊び:20-30㎜
センタースタンドを立てると後輪が浮きます。
ペダルを押して、ブレーキがかかり始めるまで(ブレーキがこすれる音がするまで)の遊びが 20-30 mm あれば大丈夫です。
調整方法
- アジャストナットを回す
- 溝とジョイントピンがあっていることを確認
※手で回ります。
ブレーキライトが点灯するタイミングは、ブレーキレバーを握ってからリアブレーキが効き始める前が正常です。
ブレーキペダル(リアブレーキ)の遊びを調整すると、点灯するタイミングがずれる可能性があります。
おかしいと思ったら、バイクショップなどで調整してもらいましょう。
確認②ブレーキの効き具合
チェック方法
日常的に走行時に確認しましょう。
※普段の感覚を覚えておくのが大事です。
アジャストナットの調整後は、走行前に「手押しでのブレーキの利き具合」や「ブレーキペダルを踏んだ時の感覚」を確認しましょう。
ブレーキの効きが悪いとき
1年に1回の点検内容になりますが、ブレーキライニングの減りを確認しましょう。
確認だけなら簡単です。
△マークと重なったら交換タイミングです。
減りが激しい場合は、バイクショップなどで部品交換をしてもらいましょう。
ブレーキライニングが摩耗した状態で走ると、ブレーキの効きが悪いだけでなく、ブレーキドラムなどの周辺部品の破損にもつながります。
1年または3000㎞に1回など定期的に確認しましょう。
タイヤ
確認① タイヤの傷、減り
確認方法
- 石、釘、金属片が刺さったり挟まっていないか
- タイヤ表面(側面も含めて)に傷がないか
- ウェアインジケーターがあらわれていないか?
これらが見つかったら、即タイヤ交換しましょう。
ウェアインジケーターとは?
△のところのタイヤの溝が浅くなっています。
この溝がなくなっていたら、タイヤの摩耗限界になったサインです。
前輪後輪タイヤサイズ
前輪:80/90-17M/C 44P、GP-5D(IRC)
後輪:80/90-17M/C 44P、GP-5(IRC)
確認② 空気圧
下記の空気圧に調整しましょう。
前輪:175kPa
後輪:225kPa
これがあると空気圧の確認・調整が簡単
チェーン
たるみ確認
確認方法
基準値:最大振幅 35-45㎜
※張りすぎると過剰な張力により破損する。
指を巻き込む危険があるため、必ずエンジンは停止しておきます。
のぞき窓からたるみを確認できます。
定規で測ったほうがいいのですが、のぞき窓の直径が約35㎜なので、これが目安に使えます。
僕は、チェーンを軽く上下に押した時に窓から半分以上隠れる、かつチェーンケースの底に当たらない位置を目安にしています。
チェーンケースは簡単に外せます。チェーンの損傷を確認するとき、チェーンを清掃/注油するとき、正確にたるみを測りたいときはチェーンケースを外しましょう。
チェーンケースのボルト(4か所)の締め付けトルクは、7 Nm です。
たるみが大きいと、加速減速やギアチェンジのときにチェーンケースとチェーンがこすれる音がしますので走っていてもわかります。(経験談)
チェーン調整
【注意】
ここは特にバイクショップでやってもらうことをお勧めします。
自分でやる場合は自己責任でお願いします。
- リアアクスルナットを緩める
- ロックナットを緩め左右のアジャストナットを均等に回す
- 半回転でもチェーンのたるみは大きく変わるので少しずつ調整する。
- メモリを超える場合はチェーンが伸び切っている可能性があるので交換。
- 張りすぎたとき、アジャストナットを戻してもアジャストナットだけが回る。タイヤを後ろからたたくとチェーンが緩むので、もう一度アジャストナットで張り直す。
- チェーンの緩みを調整ができたら、
- リアアクスルナットを締め付ける(規定トルク:59Nm)
- 締め付けると、チェーンの張りが変わるのでもう一回チェーンの緩みをチェック
- 慣れないうちはここを何度も繰り返すことになる
- アジャストナットを抑えながらロックナットを締め付ける
- 念のため、もう一回チェーンのたるみを確認
- リアホイールがスムーズに回転するか確認する
- センタースタンドを立てて後輪を浮かせ、エンジンをかけて4速にすると勝手にタイヤが回るので後ろから見る
工具のサイズと規定トルク
リアアクスルボルト:17ミリ
リアアクスルナット:19ミリ、トルク59Nm
ロックナット:10ミリ
アジャストナット:12ミリ
- 一般的な形状のラチェット、メガネレンチ、トルクレンチではリアアクスルナットを回すときにマフラーと干渉する。
- 干渉を防ぐには、クローフットレンチなどの特殊工具が必要
(トルクのずれを考慮する必要がある)。
または、マフラーを外す必要がある
(マフラーを外すと、ガスケット/スタッドボルトの交換が必要)。 - 無理やりやると、マフラー破損やトルク不足により走行中にチェーンやタイヤが緩む危険がある。
それが理由でアップマフラー(ハンターカブみたいなマフラー)に変える方もいるようです。
マフラーを付けなおす際の消耗部品(使い捨て部品)
・エキゾーストガスケット
・スタッドボルト
マフラー回り規定トルク
- エキゾーストパイプジョイントナット(エンジン直下):27Nm
- スタッドボルト(エンジンに刺さっているボルト、↑のボルト側):11Nm(突き出し29.5±1㎜)
- スイングアームピボットナット(排気管中間):59Nm
エンジン
確認①かかり具合
確認方法
以下の項目について、普段から正常時の感覚を覚えておきましょう。
- クランキングの時間(スタートスイッチを押してキュンキュン鳴っている時間)
- エンジンをかけた直後のエンジン回転、安定性(メーターが無いので音で判断)
- その他エンジン音
これらに異常を感じた時、それが何度も繰り返し起きるときは、エンジンまたは各種センサーが故障している可能性があります。
バイクショップなどで見てもらいましょう。
確認②低速時/加速時
確認方法
以下の項目について、普段から正常時の感覚を覚えておきましょう。
- エンジン回転の安定性(メーターが無いので音で判断)
- アクセルを回した時の反応、加速の力強さ
- その他エンジン音
これらに異常を感じた時、それが何度も繰り返し起きるときは、エンジンまたは各種センサーが故障している可能性があります。
バイクショップなどで見てもらいましょう。
潤滑装置
オイル量
確認方法
- エンジン始動3-5分暖機
- メインスタンドで車体を垂直に
- レベルゲージ(キャップ)を抜いて先端のオイルをふき取る
- レベルゲージをねじ込まずにさす
- 取り出してオイルの位置が上限と下限の間ならOK
- 合わせて、キャップのOリングに劣化、損傷がないか
普段は別のキャップを付けているのですが、オイルレベル確認のために純正品を保管しています。純正の方が見やすいので。
オイル交換方法
- エンジン始動3-5分暖機
- メインスタンドで車体を垂直に
- オイルドレインキャップ、Oリング、スプリング、オイルストレーナースクリーン(茶こし)を外す。
- キャップを外すと全部落ちる
- オイルを全部出す
- (オイルフィルターを交換する場合はここで。[オイルフィルター交換方法]参照)
- 新品Oリングにオイル塗布して、キャップに取り付け
- 元に戻して、20Nmで締め付け。
- オイルを注入
- オイル量を確認(前述)
自分でやる際は、お住まいの地域のごみ出しルールを確認しましょう。
オイルNGの地域はガソリンスタンドなどで引き取ってもらう必要があります。
オイル量
・交換時:0.8L(オイルフィルター交換時も)
・全容量1.0L
メーカー推奨オイル
・Honda 純正ウルトラG1(10Wー30)
オイルフィルター交換方法
- エンジンオイルを抜き取る([エンジンオイル交換方法]参照)
- ボルト2本を外して、フィルターカバー、Oリング、オイルフィルタースプリング、オイルフィルターを取り外す。
- オイルフィルターをペンチなどの工具を使って取り出す場合は本体側のOリングの接触面を傷つけないように
- 新品Oリングにオイル塗布してカバーに着ける。
- オイルフィルターにスプリングを取り付け本体に差し込み、カバーを取り付ける。
- 締め付けトルクは10Nm
※締めすぎ注意 - フィルターの向きは「OUT-SIDE」のマークが外側になるように
- 締め付けトルクは10Nm
- 周りのオイルをふき取り、オイル注入後にオイル漏れをチェックする。
灯火、ウィンカー
点灯を確認
特にテールランプと後方のウィンカーは走行中は自分で気づきにくいので走行前に確認しましょう。
半年ごとの点検がオススメなシビアコンディションとは?
ここまで点検・調整方法について記載しました。
点検や消耗品の交換には目安となる期間がありますが、バイクの乗り方によって変わります。
悪路や坂道での走行頻度が多い、または年間走行距離が長いほどバイクへの負担は大きくなります。
そのような運転状態のことを「シビアコンディション」と言って、点検カ所によっては本来は1年に1回のところを半年に1回点検することが推奨されています。
ブレーキ、タイヤ、ホイール、点火系がそれにあたります。
下記のような運転をしている場合は、日常点検はもちろん、バイクショップなどでの点検をお勧めします。
シビアコンディション
- 悪路(凸凹、砂利道、雪道、未舗装道路)走行が多い(30%以上)
- 走行距離が、半年で3000㎞以上
- 山道、登坂の走行が多い(30%以上で上り下りが多くブレーキの使用が多い)
筆者の失敗
失敗1:スピードケーブル損傷
ある日、走行中にふとスピードメーターを見ると表示が「0km/h」でした。
たぶんスピードメーターがおかしいのだろうと思い、スピードセンサーの位置を調べてみてみると、途中で折れていました。
おそらく原因はタイヤチェーンです。
タイヤチェーンを付けていることを忘れて走り出して、タイヤに絡まってしまうことがありました。
その際にスピードセンサーケーブルにも絡まって損傷させてしまったのだと思います。
失敗2:チェーン調整失敗
チェーンのたるみ調整を自分でやったのですが、しばらく走っているとチェーンケースから「カシャン、カシャン」と音が鳴るようになり、確認するとチェーンがたるんでいました。
やはり、マフラーが干渉して締め付けトルクが不十分だったようです。
再度調整しなおしたあとは大丈夫でしたが、次回やるときはアップマフラーに交換しようか悩んでいます。
まとめ
日常点検
点検項目
- フロント/リアブレーキの効き、遊び
- タイヤの異物/損傷/摩耗の有無、空気圧
- チェーンのたるみ
- エンジンのかかり具合
- 低速時、加速時の異常
- オイルの量
- 灯火装置、方向指示器
必要な道具
- チェーンのぞき窓を外すためのマイナスドライバー
- 空気圧チェッカー、調整器
- オイルをふき取る布
空気圧以外は、点検だけなら特別な道具も使わず簡単にできます。
ちょっとした確認で大きな事故を防ぐことができるかもしれません。
日常点検を習慣づけましょう。
比較的簡単に調整できる項目は本文に記載しましたが、異常を感じたらお店でプロに確認してもらうことをお勧めします。
定期交換部品の交換時期
ブレーキケーブルとエアクリーナエレメントは本文に記載しておりませんが、参考までに交換時期だけ最後に記載します。
年または走行距離のどちらか早く達した時に実施すること。
ブレーキケーブル
⇒ 初回3年目
⇒ 以後2年ごと
エアクリーナーエレメント
⇒ 20000㎞に1回
※カバーの留めねじの締め付けトルク:1.1Nm
エンジンオイル
⇒ 初回1000㎞または1か月目
⇒ 以降3000㎞または1年ごと
オイルフィルタ
⇒ 初回13000㎞
⇒ 以降12000㎞ごと
さいごに
維持費が安いというのは原付二種のメリットでもありますが、一度事故を起こしてしまえば時間もお金も吹っ飛んでしまいます。
日常点検と異常を感じたらプロに見てもらうことでバイクライフを長く楽しみましょう。